主体性のあり方と責任の問題

2012-02-06

1.人々の「傷つきやすさ」の増大2.社会の厳しさ・父性原理の衰退3.セーフティー・ネットの下支えによる安心感と時には安易な利用4.都合の悪い感情の外在化の傾向5.他罰化の傾向6.「無痛文明化」これらが適応障害の、つまりは多くの「軽症うつ」の背景にあると、私は考えています。精神科の臨床は、社会を映し出す一つの鏡でもあると思いますが、適応障害(もしくは軽症うつ)はそのことを示す典型的な例でしょう。そこには、人間の生き方と自己認識の問題、そして主体性のありかたと責任の問題が含まれているように思います。もちろん、実際の臨床にあたっては、こうした考察を踏まえつつ、それぞれの患者さんの症状を軽減するとともに、適応困難を克服できるよう援助していきます。単に症状を受け身的に除去するだけでは不十分で、本人の乗り越えを援助していくのが治療者の役割です。薬物療法も用いますが、カウンセリングや、診断書をめぐる判断など産業医学的な熟慮も必要な疾患と言えます。